200年後のアメリカントラッド


brooks brothers

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、創業200年を迎えたBROOKS BROTHERSの展覧会にお邪魔して来た。

単純に、200年続いているファッションビジネスに驚くと共に、“定番のファッションスタイル”として、アメリカはもとより、世界中で愛されている稀有なブランドに、あらためて心を奪われてしまった。

その合理的な発想のデザインと、細部にまでこだわったマーケティング手法は、常に顧客目線のブランディングがあってこそ、200年の長きに渡って成り立っているのだということが、非常に良く理解出来る展覧会となっていた。

東京・青山に海外初出店の第1号店が出来たのが、1979年(1979年と言えば、名作 『クレイマー、クレイマー』がオスカー受賞した年であり、何を隠そう筆者が産まれた年でもある。つまり当たり年だ(笑))。それから40年近く、BROOKS BROTHERSの旗艦店として、日本のファッションシーンを牽引し続けているのは言うまでもない。

当時のファッションの時代背景と言えば、先述した『クレイマー、クレイマー』でのダスティン・ホフマンとメリル・ストリープの格好を見れば、随分と洗練されていなかったことが、お分かり頂けると思う。

おそらく、当時の日本も、洋服を買う術が限られていたのだと思う。海外ブランドのショップは多くは無かっただろうし、国内のブランドも決して充実していたとは言えなかった時代だ。また、情報だって今よりずっとずっと乏しかったはずだから、ファッション誌を教科書に、流行やスタイルが生まれていたのだろう。

そんな時代に、NYのマンハッタンから、ライフスタイルブランドが店舗丸ごとやってきたのだから、さぞかし当時の人達には衝撃的だったに違いない。

 

ファサード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は経って、2003年、NYのローアーイーストサイドで、レストランからスタートしたFREEMANS SPORTING CLUBもまた、スモールショップでありながら、コミュニティを重んじる新しいやり方がニューヨーカーに支持され、2013年、海外初出店の地に東京・青山を選んだライフスタイルブランドだ。

この2つのアメリカントラッドのライフスタイルブランドが時代は違えど、新しい土地に根を張る場所として、同じ青山の地を選んだことは、非常に興味深いと言える。

 

FREEMANS SPORTING CLUBでは、創業当時からアメリカンテーラリングを踏襲した、トラディショナルなスーツを作り続けている。

これは、創業者ターボ・ソマーが、ストリートに傾倒していくアメリカンファッションのアンチテーゼとして、それまでのTシャツ作りを止め、ビスポークのスーツに舵をきった意志を引き継いでいる訳だ。

頑なにナチュラルショルダー、ハイアームホール、フルキャンバス芯を採用し、トレンドの影響を受けず、長い時間着用することが出来るトラッドなスタイルは、世代を問わずに人気があり、トラッド世代には懐かしがられ、若者の目には新鮮に映っていることだろう。

 

“メイド イン アメリカ”の背景を持つプロダクトが少なくなったと、アパレル業界では度々耳にするようになった。

冒頭のBROOKS BROTHERSは、廃れゆく自国の生産力を守る為、No.1サックスーツを製造するサウスウィック社を傘下に納め、自社内で安定したアメリカ製のスーツを作ることを実現している。

以前、トランクショーで来日したサウスウィックのヴァイスプレジデントのジョン・マーティネック氏によると、『熟練した職人を抱え、技術の継承に力を入れる一方で、3Dスキャンシステムを積極的に採用するなど、常に革新している』などと聞くと、これからは、もっとメイド イン アメリカが面白くなっていくのでは、と期待せずにはいられない。

FREEMANS SPORTING CLUBでは、早い時期からサウスウィックのファクトリーを使いスーツを生産している。既製品はもちろんのこと、MADE TO MEASUREラインとして、1着からのオーダーもご用意している。(現在サウスウィックでは、トランクショーなどでの期間限定展開以外で常設展開のオーダーを契約しているブランドを整理していると聞くので、非常に希少性の高いオーダーシステムなのだ。)

実は、あまり知られていないのだが、このサウスウィック製のMADE TO MEASUREは、日本のFREEMANS SPORTING CLUBでも、常設展開しており、GINZA SIX店のみでオーダーすることが出来る。

毎シーズン、約50柄以上の生地スワッチ(生地サンプル)がNYのFREEMANS SPORTING CLUBから届く。どれも現地のテーラースタッフ選りすぐりのスワッチで、これだけ見れば、そのシーズンのイチオシの生地がわかる内容となっている。

まさに日本に居ながら、NYのFREEMANS SPORTING CLUBのMADE TO MEASUREラインのスーツが注文出来ると言う訳だ。

日本では、現地で指導を受けた専門のスタッフがお客様のご要望を伺い、お客様1人ひとりの体型に合わせて、採寸、フィッティングの全てを管理させて頂いている為、完全アポイント制にて対応させて頂いている。

オリジナルのパターンより、身体に合ったスタイルを提案してくれる他、トラッドに精通している専門スタッフならではの、アメリカントラッドの歴史的背景から、現代的にアップデートされた旬のトラッドスタイルまで、幅広くご提案出来るのも、NYの旬な情報を現地と共有している、ここ、FREEMANS SPORTING CLUBならでは。

また、アメリカンスタイルのテーラーだけあって、スーツに合わせる小物類も充実させている。特筆すべきは、NYのFREEMANS SPORTING CLUBから毎シーズン届く、ニューヨーカー御用達のネクタイで、ドレススタイルを熟知したスタッフが丁寧に提案してくれるので、Vゾーンのコーディネイトはお任せすればいい。

肝心の出来上がりまでの日数だが、約2ヶ月頂いている。(もちろん1着1着アメリカから空輸されてくるわけだ)
オーダーから2ヶ月掛かると聞くと随分長く感じられるが、これから愛用する月日の長さを思えば、あっと言う間ではないだろうか。

そうそう、出来上がったスーツを受け取りに行く際には、是非とも併設しているバーバーの予約をお勧めする。

新しいスーツに相応しいアメリカンスタイルのトラッドな髪型と、バーバーならではのシェービングサービスは、きっと特別なひとときとなることだろう。身も心もさっぱりした後は、銀座の街を闊歩したい。トラッドなスーツに身を包んだ、いつもと違った自分が、そこにはいるはずだ。

 

『定番』という言葉が、売り手側の常套句として使われるのではなく、着る人に愛されて、『自分の中の“定番”』という風に使って頂ける、そんな物作りを、今後もFREEMANS SPORTING CLUBでは変わらずに続けていきたい。

いつか、自分の子供や孫と一緒に、FREEMANS SPORTING CLUBについて話が出来たなら、最高である。
それこそが、コミュニティを大事にしていたターボ・ソマーの意志ではないだろうか。

そして、気がついたら、200年を超えるブランドになっていることだろう。

 

 

 

 

 

今回で、FREEMANS SPORTING CLUBのブログ担当を卒業することになりました。
2014年4月12日の最初の投稿から、約4年半の間、好き勝手に書かせて頂きました。

インスタグラムの台頭で、当ブログも、『読む』ことから『見る』ことが多くなり、後半は“見えない成果”との戦いでしたが、一部の活字ホリックの皆様の励ましに支えられて、なんとかやってこれました。

これからは、さらに『見る』ことから『眺める(流す)』ことにシフトし、お店とお客様との接点がさらに希薄になっていくのでしょうか・・・。

せめて、FREEMANS SPORTING CLUBのブログだけは、流れに抗う1本の杭でいて欲しいと願っています。

永い間、ご愛読頂きありがとうございました。またどこかでお逢い出来ますように・・・。

 

FREEMANS SPORTING CLUB – GINZA SIX 03-6263-9924

TEXT BY KAZUMA KAKIMOTO